サローネの期間中は、ホテルの宿泊料金は通常の3倍に跳ね上がり、タクシーもつかまえるのが難しくなるし、レストランもなかなか席がとれない。パナソニック電工の展示会場のあるブレラ地区では、現に、私たちも初日(22日)の夕食にありつくまでに何軒の扉のまえに立ったことだろう。すでに時計は夜10時を回っているのに、街はこの時間になっても、序の口といった賑わいだ。予約をしていない人間は空腹のままさまよわねばならない。
こんなことになるのも当然。何しろ、イタリア・コリエレ紙のウェブ版によればこの6日間の会期中の地元ミラノ市への経済効果は全体で5億ユーロ(約630億円)とマーケティング予測されている。国際見本市会場への出展は2723社(うち海外企業911社)で、サテリテ(もっとも奥に位置するエリアで展開される若手デザイナーの登竜門的な部門)への出展デザイナーは702人、市街地でのフォーリサローネは約450名とのこと。市などの公的機関、企業などサローネへの関心が過熱してゆくのも理解できよう。
美術品の価格は昨年上半期まで高騰し続け、アートフェアは世界各地で高い売り上げをみせていたが、昨年の金融危機を引き金に変化があった。イタリアでも今年に入ってからのローマ、ミラノでのアートフェアは軒並み客足も遠のき、会場は閑散としていたという。48回目を迎えた恒例のミラノサローネはそんななかどうなるのか静かにミラノっ子たちも様子をうかがっていた。結果は吉。例年通りの盛況ぶりにミラノっ子たちも胸をなでおろした。
ミラノといえば「ファッション」とまず思いつくほど、服飾繊維産業が盛んだが、じつは近年では航空産業、自動車産業、精密機器工業なども盛んという多彩な側面を持つ街だ。アートやデザインを学びに世界から人が集まるイタリアでは、日常生活のひとつひとつが機能性や品質といったことはもちろんのこと、デザイン性にはとりわけ人々の目が厳しい。この街でどんな評価を下されるのか、高機能、高品質が自慢のわが国のトップメーカーも背筋を伸ばして取り組んでいる。


















